ARIA The BENEDIZIONE

2021年12月18日 映画
 これで終わりなのが悲しい
 最終章は藍華と晃さんを中心に姫屋のお話。個人的には一番シナリオ好きだったかな。過去を振り返りつつ現在のお話を進めて未来へ目を向けるって一連の流れが一番自然に作られてた気がする
 前作前々作に比べて圧倒的に主役への焦点が厚く、ほとんど藍華と晃さんの過去の話で進行していったのは、60分でこの話作るならもう主役2人に絞らざるを得なかったんだろうなと納得した。晃さんがあまりに美しく男前すぎて夢小説みたいだった。実は3人娘のなかで一番こじらせて不安定と噂の藍華だけあって過去はそれに輪をかけた難しさなのに、ことごとくイケメンムーヴで心を通わせて最終的にずっと追いかけてたとまで言わしめる手腕は惚れるわこんなんってなったよ
 伝統あるゴンドラを呪いと言い捨てて受け継がないと言った序盤では最終的に考え直して受け継ぐのかなと思ってたけど、伝統を受け継いでバトンを渡すだけでいいのか、それなら私である理由はなんだと考えてしまう呪いが自分の中にあって、過去を受け継ぐのではなく自分が伝統の始まりになりたいってはっきり言いきったのがなるほどなぁと感心した。凡才で粗悪品でなんて卑下してたのが立派になってまぁと晃さんの気分だった。アリシアさんに憧れてウンディーネを目指したけど、晃さんを師匠に持つことができたのが本当に大きな幸運だったし、晃さん自身も救われたんだろうな
 お約束のタイトル表示、お約束の会話、そして全編通してシリアスを含めつつも優しく暖かな世界と、ARIAとは何かを外れないよう細心の注意を払ったんだろうなぁと思わせる素敵な作品だった。エンディングロールの1期からの映像振り返りつつウンディーネ流すのは反則だよこんなの感動するに決まってんだろみたいな謎のハイテンションで感無量だった
 いつまでもこの世界に浸っていたかったなぁ…やっぱり最後の最後にARIAカンパニー編やったりしません?
 

ARIA The CREPUSCOLO

2021年3月11日 映画
 ARIAがまたしても映画化ということでえんやこらと映画館へ。クソカッペランドゆえ扱ってる映画館自体少ないから遠いんじゃ
 平日の夕方だからか人は数人ほど。周囲の物音気にせず集中できたのはよかったけど、売り上げ自体が低いのならいやだなぁ
 映画自体は前作同様、映画特別というよりは本編の延長のようなお話。アテナさんとアリスちゃんの関係に主眼を置いていたため、ついにアテナさんに新声優がついた
 始まった瞬間広がる風景とBGMであぁこれだこれと顔がほころんで、昔に戻ったかのようないつもの掛け合いとギャグ顔、そして未来に進んだからできるお話と展開。期待していたものがしっかり描かれていて大満足だった
 残り2社のお話もこんな風に見たいなぁ…と思っていたらスタッフロール後に新映画の宣伝が!この時は思わず身を乗り出しかけた。前作はアリアカンパニーというよりはARIA自体をテーマにしていたので、これは次作姫屋のあとに最終作のアリアカンパニー編が待っているということでよろしいか…?どちらにせよまだまだ展開があるというのは非常に楽しみだ
 今回のOPEDは牧野さんは担当されなかったが、特にEDのechoesがめちゃくちゃ好みドストライクですっかり聞き入ってしまった。フルでしっとり聞きたい
 特典のコースターは灯里とアイちゃん。これだったら特にうれしいなと思っていたから最後まで大満足だった
 今更素人が何を言わんやというほどの広く知れ渡った名作なのだけど、実は見たことがなかったのでようやく視聴。ストーリィも悲しくも前向きになれる美しいものでよかったし、何といっても皆演技が上手い。特にコールが特筆で、序盤の怯えておどおどした態度から終盤の年相応に明るく快活なふるまいまで見事に自然に表現していたと思う。やっぱり名作と長く伝わる作品は相応に理由があるのだなぁと再認識。これからはもっと古典にも触れていこう
 "私は獣にも劣る人間ですが、生きる権利はあるんじゃありませんか?"
 テーマは過去の罪と復讐
 オデスは娘の誕生日の夜、突然拉致監禁される。事情も何も分からずただただ過ぎていく時間の中、いつか脱出し復讐するため、備え付けのテレビで教養を深め、体を鍛えていたが、15年後、突然解放される。何故15年も監禁されたのか、誰がやったのか、真意を確かめ復讐するためにオデスはさまよう…というはじまり
 解放された夜ミドという女性と知り合い、二人でいろいろ調べていると、あっさり姿を現した首謀者のウジン。オデスは真意を知るためにあえて殺さずに過去をさかのぼり、やがて過去に犯した罪を思い出す
 学生の頃、オデスはウジンが姉と近親相姦しているのを覗き見てしまう。そしてそれを友人につい話してしまった。誰にも言うなとくぎは刺したが、誰ともなく話は広まり、尾ひれがつき、ウジンの姉はウジンの子を妊娠したとまで言われてしまい、姉は気を病み、自殺してしまう
 姉はお前の舌に想像妊娠させられて自殺したと語るウジン。だが15年閉じ込めたこと自体は復讐ではなかった。お前はなぜ15年監禁したかではなく、なぜ15年後に解放したかを聞くべきだったとウジンは笑う
 ウジンの復讐は、自分と同じ真似をオデスにさせること。催眠術によってオデスとミドは互いに愛し合うように仕向けられていた。そしてミドは大人へと成長した、オデスの娘であった。その事実を知り発狂するオデスであったが、ミドが今まさにその事実を知らされようとしていると知り、這いつくばり靴をなめ、舌を切り、ウジンに決して言わないでくれと懇願する。復讐を果たし笑うウジンだったが、ミドへ告げるなと命じた後、復讐を果たした今俺は何のために生きればいいと自殺する
 その後、どこか雪山でオデスは催眠術師に過去の忌まわしい記憶をすべて消すよう依頼する。冒頭の一文に心を動かされたと催眠術師は依頼を受ける。倒れ伏すオデスを見つけたミドが抱き起し、愛してると告げると、オデスは泣いているような、笑っているような表情になり終わり
 作品全体にまとわりつく生々しさと気持ち悪さに圧倒される。雰囲気がおぞましい。生きたものが食いたいと言って生ダコを踊り食いしたりするシーンや、双方ふらふらによろけながら喧嘩をしたりとか、そういったスタイリッシュな復讐とは程遠い描写はそもそもこの作品が主人公が敵に復讐するといった一本道の作品ではないことを支えているような気がする。また、オデスは口数が多すぎるというウジンの言葉など、後からそういう意味だったのかとわかる描写が上手く織り込まれていた
 一方作品として見やすくないのがちょっと引っかかった。序盤の興味を持たせる始まり方から解放まではひきつけられたが、そこから終盤ウジンと直接対峙するシーンまでの間はどうも見づらい。過去の自分の犯した罪を現在の自分が追いかけ、追想するシーン(過去の自分の行動を現在の自分が見失ってしまう=罪を覚えてすらいない)の描写はよかったけど、それ以外はシーンを並べて進めたような構成で、シーンとシーンのつなぎが断絶していたように思えた
 あとこれは好みによるんだろうけど、催眠術というある種フィクションの禁じ手のような技でこれまでの行動と復讐、そして結末を説明したのが好きじゃなかった。でも催眠術を持ちだしてからのお前が過去の罪を忘れたのは催眠術なんかじゃなく、単にそれが他人事だったからだという流れはよかった
 結末についてはどうなんだろうか…結局過去を捨ててミドと生きていくというのは、ウジンが最後に語った、俺たちは覚悟をもって愛し合っていたがお前はどうかなという復讐から逃げてしまったように思える。事実を告げず姿を消すか、あるいは事実を胸にしまい一生罪と向かい合って生きていくか、そういった覚悟のようなものもなく、罪を消してしまうのも一つの解答なんだろうか
 あまり万人に面白いよと勧められる作品ではなかったけど、陰鬱で生々しく救われないという作風を受け入れられるなら、見るべきところの多い作品だった。復讐する側だったはずの主人公が実は復讐される側だったというどんでん返しのラスト30分や、過去の罪というテーマがよかった

復活の日

2020年4月12日 映画
 なんとなく目に入って視聴したらある意味タイムリィな作品?
部隊は米ソ冷戦期1980年代。細菌兵器として作成されたMM88が事故により世界中に蔓延。これはあらゆるウィルスの毒性を強化し、風邪ですら致死の病となる驚異の兵器であり、人類はわずか数ヶ月でほぼ全滅した。しかしこの細菌兵器が零度以下では活動停止するという特性により、南極にいた各国の調査隊のみは感染することなく生き延びていた
 空気中のウィルスを採取してワクチン製造を試みるなど、再び南極の外へ出る方法を模索する調査隊であったが、地震予知の研究をするヨシズミによって、ワシントンにM8.5~9レベルの地震がおそらく起きると発覚。仮に地震が起きればアメリカの自動核報復装置が誤作動→ソ連の報復装置が作動→南極の基地も秘密研究施設と疑ってたので対象となり核攻撃により全滅することになり、それを阻止するべくヨシズミとカーターの2人はウィルスの中決死の覚悟で突入する…というお話
 最初はウィルスをどうこうして人類再建かと思っていたのに物語開始時で南極の八百数十人を残して全滅なので恐れ入る。しかも全滅するまでの世界中の暴動や病院の大パニック、死体焼却に戒厳令と徹底的に克明に描かれているので現実のコロナウィルスを思わせることも相まって気が滅入ることこの上ない。ヨシズミの恋人が友人の家を訪ねてからの流れとか陰鬱すぎてしばらく視聴中断した
 反面、後半のミサイル発射阻止のパートからはなんかぐだぐだというか行き当たりばったりというか、ツッコミどころが多かった。そもそも軍事施設入り込んで発射阻止の操作しないといけない時点で行くべきは米国の軍人だろうに、なんでカーターの助手がヨシズミなんだ。や、主人公としてヨシズミが主軸だからキャストとしてはわかるんだけど、そこに作中の説得力を持たせてくれよと。案の定カーターが不慮の事故で動けなくなったために、何すればいいかわからないヨシズミがパネルの前でわたわたしてたらミサイル発射されてしまった。ここほんとにえぇ…ってなった。発射阻止して人類はまた歩んで行けるんだってオチかと思ったら二度目の全滅となったって字幕入ったからね。復活しろよ
 あと南極外の人類はワクチンの作り方がまったくわからなくて死滅するんだけど、南極の博士は採取して1ヵ月足らずで効果は保証できないとか言いつつ完璧なワクチン作成しちゃうんですよ。上陸直前に注射してばっちり生き残れるぐらい完璧。放射能当てたら出来たわとか言ってたけど、少なくとも南極の基地レベルの施設で1人で出来るものを世界中の研究者は誰一人作れなかったのか…?と疑問に思った
 結局一人になってしまったヨシズミは、万が一に備えて基地から避難させられた人々を探して南へ歩き続ける旅に出る。ここはとにかく切実で背景の広大さと人の小ささとBGMの美しさが一体となって、何とも言えないはかなさを感じた
 物語はわずかな集落レベルになってしまった避難民の中のヒロインとヨシズミが再開して終わり。うん、これもまぁ美しいっちゃ美しいんだけど、真っ先に出た感想は復活できてねーじゃねーか!だった。老若男女合わせて30人弱じゃもう絶滅を待つばかりじゃないか…
 感想としては、全体的には間違いなく面白い。2時間半ぐらいあったけどほぼノンストップで見るぐらい力強さと魅力がある。こまごましたエピソードや人間関係省いちゃったけど、メインシナリオをどっしり支えて引き立てる濃密な展開が続くんですよ。あと風景がいい。雄大な海や生き物を存分に映し、作品の空気をより一層味わい深くしている。それだけに後半の展開が個人的に惜しい。同じ阻止失敗でも本編のはもうちょっとやりようあっただろとツッコんでしまうので、あぁ失敗したという絶望感ではなくえぇ…という呆れが先に来てしまった。あとはやっぱり、希望のある終わり方が見たかった。タイトル通り復活を予見させるようなオチにしてくれればもっとすっきりした気持ちでエンディング見られたんじゃないかなぁ…このあたりは完全に好みだろうけど

来る

2019年1月4日 映画
ホラー映画を劇場で見たことないなと思ってふらっと視聴。松たか子パンチなるワードしか知らないレベルに前知識なく見たのだけど、実に濃い内容だった

1.結局アレってなんだったのか
見る前はホラーものなら幽霊だろとか思ってたんだけど、作中でやることがあきらかに妖怪や物の怪レベルに広範囲で破壊力が高い。日本中から集まる霊能者の半数が到着前に殺され、なんとかたどり着いたもう半分も儀式の最中に全滅。結局琴子1人生死不明。対物も地割れを起こし舞台を粉砕、建物に亀裂を入れるなど尋常じゃない。おまけに出てくる霊能力者が正体はわからんけど対処はわかるよ!だったので最後までわからずじまい。子供の幽霊が走り回るビジョンを見せたり、チサに危害を加えず大人だけ殺すのに加えて、捨て子や水に流される赤子の光景から察するに子供たちの怨霊なのか
2.なんでヒデキ夫妻は殺されてマコトと野崎は生き残ったのか
最初は子供にひどい扱いをしたかどうかかと思った。ヒデキは言うまでもないし、カナもしばらくは頑張ってたけど結局最後は津田と不倫してチサに声を荒げたりして、子供から逃げてしまった。ただそうなると死ぬちょっと前に今までを悔いて改心したのは評価してもらえなかったのかと思う。あとなんでアレがカナの母親の形を借りて出てきたのかもわからん。なにやり子供にひどい扱いをしたかどうかなら、愛せる自信がないから中絶を強要した野崎とか真っ先に殺されそうものなのだけど。あくまでチサに対しての言動で判定されるのかと思ったが、全く無関係のナースが見かけて声をかけただけで殺されたりとこれもうわかんねぇな。基本殺すけどチサに優しい人だけは生き残れるのかもしれない
マコトが初めてヒデキと出会った時に、対処として奥さんと娘さんを大事にしてとアドバイスしていて、もしそれが正しいのであれば、そうせずに霊能者が手を出してしまったことがかえって怒らせてしまい、被害が拡大したのかもしれない。作中の霊能者が皆いいキャラしていて、右腕切り落とされたのに後日再び立ち向かい死んだお婆さんとか、他の霊能者が道中に命を落としたのを悟りばらばらに行動して誰かたどり着こうとか言い出す爺さんたちとかすごくベテランって感じでかっこいいので、それがあっけなくやられてしまうあたりがまた恐ろしい
3.あの虫なに
作中最初から最後までアレの前触れとして現れ続けた芋虫。琴子曰くアレを現世へ導くラインの役割らしいのだけど、同時に弱い人間の中から吐き出されたりと、アレを象徴するマーカーとなっている。が、そもそもなんで芋虫?作中で虫がでる場面といえば、冒頭と野崎と琴子がベンチで会話するシーンぐらいで、そこでは子供たちは虫を殺して死に触れたがる好奇心があるみたいな話をしていた
4.津田は何者
背中に傷があったことと、終盤で変死してることから、アレに狙われていたのは間違いないだろうけど、その割にアレをカナの家へ誘導するお札を遺影に供えたりとどう言う役回りだったのかいまいちわからず。なんで狙われてたかもわからん

他にも細々と悩む点や記憶に残るシーンはあるけれどキリがない。すっきりしない悩みではなく、あれはどういう意味を込めた描写だったんだろうかという楽しい悩みなのでよい。映画見終わってからこんなにいろいろ考えるのも久々なので、やっぱり映画っていいなと思える作品だった。難しいこと抜きにしても、ホラー描写!現代の痛みを抱える大人たち!道路封鎖して宗教ごちゃ混ぜお祓いショー!と見所さん満載最初から最後まで不穏で濃厚な時間を楽しめる、とてもよい映画だった。他の人の感想や考察も読みたくなる
 前日まで全く知らない映画だったけど、ツイッターの感想で興味をもって視聴。確かにこれは映画館で見るべき、見てよかった映画だった
 あらすじとしては、主人公のクボは三味線で紙を組み立て操る能力を持った少年で、街に降りてはその能力で物語を披露し、母と二人で暮らしている。ある事件で心の壊れた母は、日中は人形のように座っているが、夜になると正気を取り戻し、クボに自身たちを追い詰めた月の帝と、それに立ち向かったクボの父親、半蔵の物語を披露するが、心が壊れつつある影響で記憶が朧気になり、クボに半蔵の話をきちんと聞かせてあげることができない。そんな中、街で行われるお祭りの夜、灯篭を掲げ語り掛けると死人と会話できると聞いたクボは、母親から絶対に夜は外に出てはいけないという言いつけを忘れてしまうほど、灯篭の前で父親に語り掛け続けてしまい、気が付けば夜になっていた。そこに月の帝の一派がクボをさらうために現れる。追い詰めれたクボは母親の必死の力で何とか逃げおおせ、追いつかれる前に月の帝に対抗しうる三種の武具を探しに行く…というもの
 独特のキャラ造形で最初はちょっと違和感があったけど、しばらくするとすっかり慣れて逆に愛嬌があるように見えてきた。いわゆるアニメ絵とは全然違うのだけれど、ストップアニメーションと言って人形を実際に動かしてパラパラ漫画のように映しているのだとか。一週間かけて3.3秒分のシーンしか撮れなかったとの記述に驚き。しかしだからと言って劇中の動きが大人しいかというとそんなことはなく、戦闘シーンなど動きの必要な場面ではこれでもかというほど動き回っていた。船上での月の帝一派対猿とクワガタとか
 何といってもこの作品映像がものすごく綺麗。何気ない風景すら和風の暖かさを持った美しさがあり、逆に月の帝一派の現れるシーンではぞっとするような冷たさを表現していた。紅葉をくみ上げて作った船や半蔵の城への道中などが思い出深い。その中でもとりわけ序盤の灯篭の明かりが消え去り月の帝一派登場からの母親が駆けつけて三味線をとるまでの流れは本当に涙ぐむほど美しいシーンで、この時点で来てよかったと心から思えた
 終盤3種の武具をそろえて月の帝に立ち向かうシーンも、今までろくに刀振ったことないのに戦えるのかとか思ってたけど、刀もろとも吹き飛ばされたクボが御守りとして身に着けていた母親の遺髪、父親の弓の弦、そして自身の髪留めの3本を弦とした三味線を携えて改めて向き合い、武力ではなく心の強さで月の帝に打ち勝っていて、かなり好きだった。タイトルの弦の秘密はたぶんここにかかっているんだろう
 ストーリー自体は王道かつご都合主義だったりする場面も多いけど、そんなの全く気にならないぐらい晴れ晴れした気持ちになる作品で、映像音楽ともに映画館で見てこそといった部分が大きい。来てよかったと心から思えた

きんいろモザイク Pretty Days
 というわけで見てきた。最初のテンションはあんな日常物が映画ねぇ、まぁきんモザだし見に行くかー程度だったんだけど、いや、いってよかった。思ってたよりはるかに素晴らしかった
 今回は綾を主軸に話が展開。陽子と忍が小学校時代からの友人なのに対し、中学校から友人になったため、時々出る「昔は~」「小学生のころは~」という言葉に過敏に反応してしまい、小学校時代からの付き合いでもなく、金髪でもないから、自分が思うほど忍は自分を特別な友人とは思っていないのかもしれないとまで悩みだす。本編でさんざんいちゃついといて何言ってんだって感じだけど、綾だからしょうがない
 そんな中カレンとアリスが忍はどうやって高校に入ったんだという質問をして、3人の受験話が始まる。絶望的な学力の陽子と忍に勉強を教えたり、3人で高校見学に行ったり、いろいろあって綾が合格した第一志望校を蹴って2人と同じ学校に決めたりと、これ本当に素晴らしくて、横の人がすすり泣き出してるのをうるさいなと思いつつまぁわからんでもないと堪忍したほどだった。やっぱ…この3人の、友情は…最高やな!
 この回想でもうすっかり終わった気でいたんだけどそのあとは文化祭開始。序盤から準備してて話の本筋なんだけど、完全に忘れてた。忍が脚本、カレンとモブが主役、綾が演技指導なのだが、話の都合上モブが当然のように風邪をひき、綾が代役に。しかし緊張しつつもセリフは覚えてる綾に対し緊張で何一つ思い出せないカレンがアドリブを開始し、一同硬直。助け舟として観客席の烏丸先生、アリス、陽子が舞台に乗り込み、アドリブと同時進行で忍が脚本を書くというなかなかすごいことに。でも姫の恰好した綾が陽子に手を差し出すとことかもうすごかった
 公式サイトに今回は真面目な要素もありますと書いてある通り、いろいろシリアスめいたところもあったけど、雰囲気自体はいつものきんモザだった。というか上でぐちゃぐちゃ書いたけど正直スクリーンと映画館のスピーカできんモザが見られるだけで十分すぎる価値だった。配布の色紙も可愛かったし、本当に来週も行くか悩むな…
 

シン・ゴジラ

2016年9月10日 映画
本当に現実世界にゴジラが現れたような、上手くリアルっぽく作られた映画だった。これまた評判になるわけですわ。面白かった。現実離れした秘密兵器も御都合主義もなく、出来ることをひたすら探り続ける話。やっぱり必死に頑張る人々ってのは見てて良いもんだ
尋常じゃなく硬いゴジラに驚き、東京一帯を火の海にした場面で絶望を覚え、それでも諦めず策を探し続ける主人公たちに熱くなりと、夢中で見続けた
街を這いずり回った形態が気持ち悪さの中に愛嬌もあって好きなんだけど、やってること自体は凶悪なんだよな。徘徊した場所にちなんで蒲田くんとニックネームがあるらしい。ぬいぐるみとか出たりしないかね

君の名は。

2016年9月9日 映画
別段見るつもりはなかったけど、誘われたので行ってみた
前知識が一切なかったので、ジャケット二人の恋愛物程度に思ってたけど、かなり色々詰め込まれていた。入れ替わりにタイムリープ?とSF満載。でもSFの素養がないと理解できないかと言われるとまったくそんなことはなく、添え物程度に捉えて恋愛物として楽しんでも問題なかった
ギャグもシリアスもあって、よく出来てる映画だった。特に三葉が可愛い。普段の言動も可愛かったが、髪を切った浴衣姿は作中で一番可愛いポイントだった
後は綺麗なハッピィエンドだったのが一番よかった。作中2回ぐらいすれ違ったままだったからやきもきしていたが、きちんとしめていてよかった。すれ違ったままでも話としては綺麗なんだろうけど、やっぱり見てる側としてはハッピィエンドであってほしいわけですよ。早くもまた見たくなってきたぞ

千年女優

2016年2月4日 映画
 大女優藤原千代子の一生を、映画と現実を入り混じえながらインタビューを通じて追いかけていくお話
 映画女優にスカウトされた千代子は、道で偶然ぶつかった男性を、警察からかばい逃し、手当をしてやり、その後自宅の蔵に匿い、交流を深める。その中で男性が首に鍵をぶら下げていることに気づいた千代子の目線に、男性は大切な物を開けるための鍵だと答える。しかしある日、血に濡れた雪の上に男性の傷口を縛っていた布と鍵が転がっていた。男性を蔵に匿っていることが露見し、警察が家に来たのだ。男性は駅に向かったと知り必死に走るも、あと僅かというところで追いつけず、ホームで転んだ彼女は顔を上げ、必ず会いに行くと声を上げる…という初主演映画のラストを懐かしむ千代子とインタビュア。ここから先も映画と現実がごちゃ混ぜになりながら話が進む。というかインタビュアたちが回想の中に実際に入り込んでいる。かと思えばやっぱりあくまでただの回想かのような描写もあって、正確にはわからない。考察サイト巡っても結局分からなかったけど、これのおかげで楽しくなってるのは間違いないから、演出だと思うのがしっくりくる
 この映画はとにかくキャラがよく走る。最初の駅に走るシーンから始まり、その後も映画が変わるたびにとにかく走っている。ひたすら鍵の君を追いかける千代子の姿を映している映画だ。それで90分飽きるどころか息もつかせぬ内容なんだから凄い。とにかく映像がめまぐるしい
 ストーリィに関しては未だにわからないこともあるけど、それを無視しても問題なく楽しめる映画。最後のセリフは色々と考察が分かれているけど、個人的には例え鍵の君に一生会えない人生でも、一生追いかけ続けた自分が大好きで、悔いのない生き方だったということだと思いたい。鍵の君すらどうでもよくて、ただ彼を追いかけてる自分が好きだったという解釈も筋は通ってるんだけど、好きじゃない

ARIA The AVVENIRE

2015年10月29日 映画
 映画館で映画を見るのが多分10年ぐらい前のことで妙に緊張した。高い金払ってみるんだから楽しむぞーと意気込んでいたけど、いざ始まるとそんな考え一気に消えてひたすら作品にのめりこんでた
 出だしからアイちゃんが登場。作品世界の時間は本編終了後のもので、回想という形で最初のお話は進んでいく。大画面いっぱいに美麗なアニメが展開されてるだけでもう素晴らしかった。キャラクタはもちろん海や建物とか
 3話構成ということは知っていたが、1部ごとにウンディーネ、シンフォニー、スピラーレがOPとして流れたのがまた良かった。なるほどなー…最後に主題歌流して終わりかとばかり
 三大妖精のお話し、ケットシーとの別れ、アイちゃんの出会い、灯里のアリア入社話と、過去と現在が入り交じりながら映画は進み、最後にメインキャラクタ+映画の新キャラが集まり、過去から今、そして未来へ受け継いでいくという話で終わった。アイちゃんも3人組になれてよかったねー。本編では姫屋枠とオレンジプラネット枠がいなかったから
 映画だからと壮大な話や思い切り泣かせるような展開があるわけでなく、本編の延長線のような話と、締めにふさわしい綺麗な結末が描かれていた。タイトル通り未来を感じさせる終わり方。いやー本当によかった
 惜しむらくはアテナさんの声優が亡くなられているのでセリフがなかったこと。劇中では彼女の歌を流すという形で登場させていたが、もし生きていたらもっとたくさん話に絡んでいただろうに…
 それと個人的に惜しかったのは、もっと間隔をあけて見たかったなという点か。リアルタイムでアニメや原作に触れて、数年を置いて再び劇場で…という人はとても羨ましい。1期~3期までつい最近触れたから待ち望むだけの時間がなかった。もしそうだったら感じるものもまた違ったのではないか
 EDのクレジットまで楽しめるとても綺麗で暖かな作品だった。終わった後も名残惜しくてしばらく座席に座り込んでしまった
 6,7話を視聴。5話以前を見たのが下手すると一年以上前なので、あまり展開を覚えてなかった。マリーダさんってバナージとこんなに仲良かったっけ
 先に見ていた友人からは見ると絶対リディが憎くなると散々脅されていたのだけど、全然そんなことはなく、むしろ振り回され続けた可哀想な子供という印象だった。バナージへの嫉妬、手を取ってくれなかったミネバへの憎悪と執着、父から受け継いだラプラスの箱の正体の重さ、そういった感情に押しつぶされて錯乱してしまったのではないかと感じた。むしろ自分を殺した相手の手を握って励ませるマリーダさんに感動するシーンだったよ
 その後ラプラスの箱にたどり着いたミネバとバナージの決断、それを妨害するフル・フロンタルとの勝負と息もつかせぬシーンが続く。とはいえフロンタルの機体はMAのようにやたらでかく、ほとんど動かなかったけど。リディとの共闘でも鎮座してたし
 最終決戦は正直あまり面白くなかったけど、そのあとのコロニィレーザを食い止めるバナージとリディのシーンはよかった。父から託されたものを受け止め、覚悟した子供たちの決断のシーン。この作品のテーマのような気もする
 バンシィが緑色に変わるシーンはどちらもグッとくる名場面なんだけど、7話見てて思ったのが大体リディいらないんだよな。コロニィレーザは多分リディ欠けてたら厳しかっただろうけど、最終決戦でも別に役立ってないし、レーザを受け止めた後遠くへ行ってしまうバナージを追いかけるシーンでもセリフ自体は熱演も相まってかなり感動的なんだけど、内容自体は結局追いついたかと思えばバナージは意識を取り戻して勝手に帰っていくし。このユニコーンが勝手に動き出しどこかへ消えていく場面はそもそもどういうことなのかよくわからなかったからあとで感想サイト見ないと
 最終話で主人公が活躍するのは当たり前だしなんとも思わないんだけど、わざわざリディを映し、動かし、結局何もできてませんってシーンが多かったのが気になる
 とはいえ見終わった後は放心するぐらいいい作品だった。ガンダムから始まった地球とコロニィ・ジオンと連邦・ニュータイプとオールドタイプの関係をきっちり描き、子供たちに未来を託すという希望を持ったエンディングだった。現実的に冷静に今を変えようとするフロンタルと、あいまいでどうなるかわからないけど、それでもと言いながら未来の可能性を信じるバナージ、大人と子供の対比が印象的だった

スナッチ

2015年8月30日 映画
 スナッチ視聴完了。前情報がバッカーノのパロディ元ということしかなかったから、意外と血なまぐさいお話で驚いた。でも良作と名高いだけあってテンポよく面白いなー。一気に話に引き込まれてあっという間に終わった
 この作品はいわゆる群像劇で、84カラットのダイヤをめぐるギャングたちのお話と、裏ボクシングの八百長を仕切るマフィアたちの話の2本が主軸。それが様々な形で交差していく
 こう書くと重々しくシリアスな話なように見え、実際に作品内でやってることはシリアスなはずなんだけど、出てくるキャラたちがどこか抜けているというか、決してギャグキャラでもギャグ展開でもないのについつい笑ってしまうシーンがいくつもあった。いわゆるシリアスな笑いってやつだ。とくに犬絡みのシーンは大体笑ってしまう。しかしもちろんシリアスな空気もしっかりあり、後半の登場キャラたちが集いダイヤを奪い合うシーンや、八百長ボクシングのシーンなどは身を乗り出してしまった
 最後、2つの話が綺麗に一つにまとまり、スパッと表示されるTHE ENDがまた爽快で歯切れがいい。とにかく中だるみせず駆け抜けていった印象だった
 登場キャラは多いけど、一人一人の個性が強く、画面のキャラを見てこいつどういうキャラだっけとなることはないはず。ただ慣れない外国の名前なのでちゃんと覚えてないと画面に映ってないキャラの名前が出たときにわからないことはあるかもしれない
 見ていて何か考えさせられるという作品でなく、画面に映っているものに固唾を飲んだり笑ったり、そういう作品だった。面白かった

ウォッチメン

2015年8月29日 映画
 暇すぎて映画借りてきた第一弾、ウォッチメン。前にも一回見たんだけど、また借りてしまった。実際のアメリカの出来事知らないとわからないネタが多くて解説サイト参考に見たなぁ…
 この作品はアメコミながら、登場するヒーロは一人を除きあくまで常人より鍛えられただけの人間であり、決して特別な能力は持っていない。まして正義の体現者でもなく、本当にただ仮装しただけの人間である。しかしたった一人、事故により生まれた本当の超人、Dr.マンハッタンの存在により現実とは少し違った歴史をたどった世界が舞台となる
 作中の時代は米ソ冷戦のピーク時であり、Dr.マンハッタンの存在に一層危機感を募らせたソ連側は数万以上の核弾頭を準備、それに応じてアメリカも軍備増強と悪循環が加速されている。そんな中、政府公認のヒーロであったコメディアンが殺されたことから映画は始まる
 こう書くとDr.マンハッタンが主人公のようだが、実際はロールシャッハテストの模様がうごめくマスクをかぶったヒーロ、ロールシャッハが主人公である。コメディアン殺害事件をヒーロ狩りとにらみ独自に捜査を進めるうちに、とんでもなく巨大な企みに相対し…という話
 主人公でありながらロールシャッハはあくまで常人であり、作中の展開にはほとんど影響を及ぼさない。この作品のストーリィの中枢は世界一賢い男と称されるヒーロ、オジマンディウスの計画と、その計画の根本であり、作中世界そのものを左右する力を持つDr.マンハッタンである。彼のために米ソ冷戦は激化し、オジマンディウスの計画とDr.マンハッタンの理解により世界は平和になる。ロールシャッハはこうした世界でただただ自身の正義を貫く存在である。しかしこの正義の貫き方が半端ではなく、文字通り神にだってNOを突きつけた人間なのである
 この作品の黒幕ともいえるオジマンディウスの計画により、「数百万の犠牲のもとに数億人が平和」に暮らすことが可能になった。Dr.マンハッタンの力を再現する装置を発明し、各国の首都にその力を用いた爆弾を投下。それをDr.マンハッタンの仕業であると思わせることによって、巨大な敵を前にした米ソを含む各国は敵対することをやめ、協力して立ち向かうという計画である。Dr.マンハッタンも最初はオジマンディウスに怒りをあらわにしていたが、実行してしまった以上このまま黙って見過ごすことが世界平和のためだと最終的に理解を示す。しかしロールシャッハだけは真実を明らかにするべきだと抵抗。もし真実を明かせば数百万の犠牲が無駄となり、再び世界は核の恐怖に怯えることになると言われても、絶対に妥協はしないと言い張る。そして、世界平和の維持のため、Dr.マンハッタンはロールシャッハと対峙する
 わかりやすい勧善懲悪ではないし、見終わってスカッとするわけでもないけど、面白かったと思える作品であった。物語の結末は彼が書き記し続け、最後の対決の前に投稿した手記が新聞社の読者の手紙箱から読まれるであろうところで終わるが、この後この手記が世界中に公表され再び世界は対立してしまうのか、それとも狂人の妄想とゴミ箱に投げ捨てられるのか、いずれにせよたとえ世界が破滅することになろうと自身を貫くロールシャッハも、形は違えど超人なのではないだろうか(ってwikiに書いてあってなるほどと思った)

カルト(後篇)

2015年7月4日 映画
 白石先生の次回作にご期待ください

 お前まだちょっと憑いてるぞ、とネオはいきなり真悠子の服をまくり上げ、背中に指を突き刺す。そして体内から黒みがかった謎の物体を取り出し叩き付ける。お経とか無しに除霊するとは、これは凄い霊能力ですね
 あなたの信仰するものは何ですか?という母親の質問に、俺は俺を信じる、神とか仏とか馬鹿馬鹿しいだろ?と吐き捨てるネオは、とりあえず家に向かおうと言う。母娘二人は危ないから置いてくけど、お前らは危なくてもいいだろ?との質問に、二人組は危ないのはちょっと…と口ごもる。が、場面変わると結局同行してる。ついてくるんかい。見上げたプロ根性だ
 家に到着し、見回った感想は「ふーんという感じ」というネオに、それじゃわかりませんよと突っ込む二人組。そりゃそうだが見回ってる時ぐらい集中させてやれよ。向こうから来るのを待つだけ、と結論付けたネオは、マリも来るんだって?という。マリを知ってるんですか?と返す二人組に俺ファンなんだよね、お前ら二人抜きでマリだけでよかったのにのたまう。てっきり霊力絡みでなんかあったのかと思った。というか写真持ち歩いてるんだ…
 11時過ぎ、2階から例の騒音がまた始まる。真悠子はもうやだ帰ると泣きだしあちこち逃走するも行く手を黒い影に阻まれ座り込む。ネオはあのバカ女、とキレつつ蝋燭を取り出し、左手の手袋をはずし蝋燭に翳し、アアアアアアアと力を込めると蝋燭の火が噴きあがり、黒い影は一瞬で消滅した。すげぇ!
 家の外に出たネオは、草むらの中から瓶に入った猫の足を見つけ出し、これが呪いの起爆装置だ、と断定。あの謎の男のポイ捨てにそんな意味があったのか…
 じゃあ爆弾はどこに?と聞く優に、お前探してみる?俺苦手なんだよねと返すネオ。目隠しされた優が何となくで指さした場所を探すと、四角い鉄のキューブ?のようなものが見つかる。これは強力だわ…とネオが独り言ち、これを仕掛けたやつがいる、と隣の家を指さすと、窓から一行を覗く2人組がいた。片方の女性は序盤で何度か映像止めて映してたから、隣の家も憑りつかれてるのかなと思ったけど、人間だったのか…
 隣の家に乗り込んだネオが白い服の女性の胸元をむき出しにすると、そこには雲水の盛り塩が吹き飛んだ痕と同じ形状の模様が浮き出ていた。呪詛返しされたくなかったら明日の朝までに出ていけとキューブから黒い触手を引きずり出しつつネオが恫喝すると、二人は怯えて何度も頷いた。ネオマジで最強だな
 翌日、隣の家族は早朝に出ていった。これで安全だから母娘呼び戻せとネオがいい、これにて一件落着の様子。しかし優はすごく嫌な予感がする…と思わずこぼし、俺が大丈夫って言ってんだから大丈夫なんだよ、二人とも怖がってるじゃねーかとネオがキレる。が、その後家を出るとネオは二人を先に行かせ、カメラ係だけ残す。言われた通りカメラつけたままですというカメラ係に対し、面白いもんが映ると思うよ返すネオ。解決したんじゃなかったのか…と思いながら見てると、玄関から家の中を覗き込み、不思議な動きをする男の姿が。そういやこいつ手付かずだった。不思議な動きに呼応するように母親がグネグネと動き出すと、玄関には隣の二人組を先頭に何人もの人がぞろぞろと集まり、男と同じ動きをする。すると母親はぐらぐら揺れながらベットに立ち上がり、後ろ向きに歩き出した。これ憑りつかれてた時の娘と同じ症状だ。そのまま娘の部屋に後ろ向きに入り、娘のベッドの横に向き直ると、毛布が勝手にずり下がり、母親の口から出た黒いモノが娘の口から体内に入り込んだ。娘は痙攣しながら苦しみだすが、母親は今度は前を向きながら退室する。いったい何がどうなってるんだ。毛布ずり下げた意味あったのか
 そのまま部屋に帰るのかと思いきや、母親は外に出て、列の先頭に立ち同じ動きをし始める。娘の口からは触手がまっすぐ突き出し始めた。もうわけがわからないよ…。しかし、そこにネオがふらっと登場。約束の呪詛返しどうぞと言いながらキューブから触手をだし、集団にけしかける。集団が苦しみながら散り散りに逃げていくと、娘の触手も引っ込み、母親もその場に倒れ込んだ
 が、そこでネオの体がぐらつく。目の前に現れたのはマリであった。いたなー…完全に忘れてた。ネオのピンチか?と思うも、手袋をはずし、ンンンンンンァァァァアアアアアアア!と唸るとマリは一瞬で消え去った。やっぱこいつ強すぎだろ
 ネオ曰くこれはマリの生霊で、本人は現在監禁されているらしい。呼び出された二人組が家に入ると、母娘は椅子に縛り付けられていた。抗議の声を挙げる二人組にうるせぇ!と怒鳴りつけて終わらせるネオ。でもこれ雲水と龍玄だって同じことやったのに、なんで今更そんなことに突っかかるんだろうか
 カメラ係からある写真を受け取ったネオはそれを美保に見せて映っている人物の名前を確認しだす。母娘が引っ越す前の写真らしく、美保は順番に名前を答えていくが、ある人物だけはわからないと首を振り拒否する。何か仕込んでるな…とネオは美保の頭に手を当て、黒いひものようなものを引っ張り出す。そして改めて美保に問いただすと、なんとその女性は美保の母親だという。今となりにいる女性は母親でも何でもないということらしい。ネオの信仰や力を探ったことを怪しく思ったネオが、家を隅々まで探しても家族の写真が無かったことで疑問を抱き、カメラ係に家族の写真を手に入れるよう頼んでいたのだ。必死にママだよ!とアピールする母親に対し、この人誰…?と返す美保。本当に誰なんだ…
 ついに観念した偽母は、大事な出来事なんだからちゃんと映像残してよね、そのためにあんたら呼んだんだからと言い放つ。ネオが偽母の服をずり下げると、肩には隣の家族にあったものと同じ模様の浮き出ていた。この宗教団体は美保の体を入り口に私たちの神様を現世に呼び出すことを目的としていた。本物の母親は何処だとネオが問い詰めるも、ふと立ち上がり、辺りを見回す。もう始まっていると偽母が宣言すると、明かりが点滅し始め、ネオはこれはよくないな…と漏らす。そして恒例の暗視カメラタイム
 美保の口から出た触手は首から上を覆いつくし、天井に届くとそこから人面が飛び出し、その口からまた触手が出てネオと偽母を取り込もうとした。まどろこっしい形の神だな。が、ネオが唸り声とともに手をかざすと、光の靄のようなものがでて、そこに神は吸い込まれた。え、これで退治完了!?お前強すぎだろ!あっけないわ!
 が、美保は依然として危険な状態らしく、なんやかんやで力を使い果たしたネオは一人では除霊出来ない体力であった。そのため真悠子の憑依体質を利用すると宣言、美保から触手を取り出すと、それを真悠子の体に移し替えた。大丈夫なんですかこれ!と詰め寄る真悠子に明日祓ってやるようっせぇな!とブチ切れるネオ。うーんこの
 一方霊感を無事開花させていた優は、嫌な予感がするからここ離れて!と美保を椅子から遠ざける。と同時に本棚が椅子に倒れ、その上空にマリの生霊が浮遊していた。えっらい肌色悪くなったな。私たちの神が来る、人間もこの世界も終わり、と急にチープな事を言い出した。ほぉ、面白れぇ…とネオは言い放ち、いつもの唸り声とともに手をかざすとマリは消え去った。お前力使い果たしたんじゃなかったのか
 ゆっくりとネオは振り返り、そして言う。「本当の戦いは…これからだな…」
そして、終わり。えええええええええええええええ!!?いや、残り時間見て若干嫌な予感してたけど、映画で僕たちの戦いはこれからだエンドやるの!?打ち切りマンガじゃないんだから!幾らなんでも嘘だろ…と呆然としていると、スタッフロールが流れて、本当に終わった。ええええええええ…

 しかしまぁ、総評としては、めちゃくちゃ面白かった。最後の放り投げエンドはちょっと残念だったけど、前半の雲水龍玄編、後半のネオ編共に見どころ満載で、最後まで飽きることなく見続けられた。真剣なホラーを期待してみると肩透かしだけど、皆でワイワイツッコミながら楽しく見る分にはいい作品じゃないだろうか

カルト(前篇)

2015年7月3日 映画
 スーッ…セイッ!
 
 コワすぎ!の監督が作ったらしいホラー?映画「カルト」を視聴。かなり面白かった
 いわゆるモキュメンタリー形式をとる映画、主役3人の女性は霊に憑りつかれた母娘のもとに、霊能力者雲水とともに向かい密着取材を行うことになる。序盤からやたら音を主張する霊払いの技「スーッ、セイッ!」(スーッを伸ばすと威力が上がる様子)や盛り塩爆散、肉類絶対食べるなと言い聞かされたのにハンバーガー食べてきて案の定霊障に苦しむ馬鹿と見どころ満載。映像を一部止めて霊を確認(ホラー番組のおわかりいただけただろうかみたいな感じ)するのもいい演出。ホラー映画じゃやらないもんね。モキュメンタリーっぽい
 その後本格的に霊を祓う儀式を執り行うも、娘についた霊はあまりに強力で雲水の手には負えない様子。空中浮遊して部屋に飛んでいったテニスボールを追いかける犬を後ろ向きに階段をのぼりながら追いかける娘を追いかける一行というシュールな絵面の先には、犬を噛み殺し捕食する娘の姿があった。というか犬の悲鳴した?鳴き声あげず死んだように見えたけど。かみ殺す前に首追って即死させたのかしら
 事ここにいたり雲水は携帯で師匠の龍玄を呼び出し、まさかの電話越し遠隔除霊を敢行。力強いスーッセイッ!の声により黒いミミズのようなものが首から抜け出す。自我を取り戻した美保は無残な犬の死体と自身の口から吐き出た犬の肉片を見て嘔吐してしまう。そしてその吐瀉物の中には盛り塩の受け皿として使用した六芒星入りの皿が混じっていた…このあたり割と不気味だった
 その後母娘は自宅を離れ龍玄お墨付きのマンションを借りている様子。定期的にお祓いをしているからここなら安全と言い切るが、どう見てもフラグです。霊と繋がりがあるかを確かめるために塩を触らせ、熱かったらヤバイですみたいな検査を行い、美保は温かい…というか熱っ!と反応。ほかの人は普通に塩だよねみたいな反応。が、マリだけ触った瞬間熱っ!っと手を放す。直後になんちゃってーみたいにごまかしたせいで優に美保ちゃんがこんな大変な時に何考えてんの?馬鹿なの?死ぬの?みたいなガチギレされたけど、どうも実際に熱かった様子。マリの方がヤバくねーかこれ
 日は変わり再び母娘の家に向かう一行。龍玄師匠がこれ地脈どうこうじゃねーな、もっとヤベーわといった途端家の中で何かが崩れ落ちたような騒音が。それ聞いてマリは泣き出し、ごめんなさいもう帰る降りると言い出す。気持ちはわかるというか、むしろ先に霊障に苦しんだのに何言ってんの仕事だよ?って反応できる真悠子が怖い
 結局マリはタクシーで現場を離れ、雲水は龍玄師匠を迎えて二人掛かりで再度除霊開始。引きずる音とともに唸りだした娘の横で、ひたすら必死に拝んでいる母親の姿が印象的だった。今まで信じたことも意識したこともない神にも縋るっていう必死さがよかった(追記:最後まで見るとここで祈っていた対象が何だったのか分かった)
 霊障で電気が落ち、暗視カメラに切り替えると悪霊が姿を現す。二人は立ち向かうも雲水は突然倒れてしまう。師匠が果敢にスーッセイッ!を繰り返すと、悪霊は徐々に小さくなり、雲水の体に入り込んだ。大丈夫かよこれと思ったが、師匠曰く大丈夫らしい。これにて除霊完了ですと龍玄師匠が宣言。絶対終わってないんだろうなこれ(残り時間見ながら)
 ところ変わってマリは、現場放棄したことでマネージャーに説教されていた。可哀想にと思っていると、マリがニヤニヤと笑い出す。何笑ってんだよ!とさらに怒らせるも、神様が私の力を必要としている…とか言い出す。やっぱり手遅れじゃないか…。お前何言ってんだよとマネージャーが言いかけた瞬間、結構な勢いで机が動き出し、マネージャーの腹部を強打。気を失ったマネージャーを放置してマリは部屋を去って行った
 2人組のもとには、母娘からの感謝のビデオレターが届いた。が、そこには美保に取り付く霊の姿が写っており、しかも雲水は様態が急変して死亡したらしい。何が大丈夫だったんだ…って龍玄師匠も重体!?全滅エンドじゃねぇかこれ
 突然車道に飛び出して乗用車に跳ねられた龍玄師匠は、美保ちゃんまだ危険だわ、あと俺も多分駄目だからビデオ回しておいて、後のことは超強力な霊能力者に任せたから安心して、と言い残し、じっと病室の一点を見つめていた。何かいるんですか?と二人が尋ねるも傍にいたお弟子さん?には何も見えない様子。そして12時ごろ、お弟子さんが目を抑えたかと思うと突然ぶっ倒れる。下マットとか見えなかったけどすごいな。そして黒い影が龍玄師匠が見詰めていたほうからゆっくりと近づく。身じろぎしながら必死にお経?を唱えるも、黒い影は龍玄師匠の体に入り込み、龍玄師匠は数回ベッドの上で飛び跳ねた後ぱたりと動かなくなってしまった。動けない状態で近づいてくる霊って、普通に怖かったぞ…
 翌日、この映像を沈痛な面持ちで見る一堂の後ろに、テーブルで胡坐をかく金髪黒革手袋の兄ちゃんが一人。彼こそ龍玄師匠の友人にして超強力な霊能力者と名高いネオ(仮名)なのだ。「龍くん死んじゃったかー、でもあれは人が手を出していいものじゃない、俺ぐらいじゃないの?あれを解決できるの」と自信満々な彼は、お名前はと聞かれただけで何だっていいだろ田中とかでいいよとキレだし、ちょっと地味です…と返されるとじゃあシャアとかならいいのかよ、じゃあれだ、ネオにしよう、知らねぇの?マトリックスなどと言い出す始末。そんなネオ(仮名)がどう悪霊に立ち向かうか、流石に文字数が多すぎるから別のページにしよう
ストレンヂア:最初の戦闘シーンで分かったけどこの作品思ったより残酷描写がはっきり描かれてる。四肢が飛んだり首が飛んだり断面から骨が見えたり。知らずに借りたらきつい人もいそう。ただそれさえ気にならなければいい作品。全体的に戦闘シーンがよく動くし終盤ナナシが刀を抜くシーンはかなり燃えた。最後の戦いもしばしば名戦闘シーンに挙げられるだけあって息もつかせぬめまぐるしさ。ストーリィも含めてとてもよかった。最後名無しは死んじゃったのかな。想像に任せるってことかな

F91:バンチャの放送時間の関係でストレンヂアからそのまま視聴。途中飛ばしながらやってんじゃないかってぐらい話がぶつ切りに進む。いきなり別の場所にいたり気が付いたら敵が寝返ってたり。とにかく駆け足でUCとまでは言わなくても前後編ぐらいに分けてもっとたっぷり時間を使ったらまた違ったと思う。戦闘シーンは時代相応?逆シャアの方がよく動いてたような気はするけど。とりあえず「人間だけを殺す機械かよぉ!」「しかも脳波コントロールできる!」「質量をもった残像」の元ネタを見たってだけである程度満足。最後の鉄仮面戦はあまり燃えなかったけど質量をもった残像のシーンは好きだった